はまさか日記~澄風荘しょうふうそう~

兵庫県浜坂温泉・カニソムリエの宿・澄風荘の主人・スタッフが、但馬の文化や歴史、山陰海岸ジオパークのPR、浜坂の四季折々の魅力をお伝えしていきます。

ブナを植える会と加藤文太郎

ブナを植える会と加藤文太郎

ブナを植える会と加藤文太郎

ブナを植える会と加藤文太郎

ブナを植える会と加藤文太郎

6月6日新温泉町浜坂の創造の森ふれあい祭りに、神戸のブナを植える会の皆さん13名の方がご参加されました。

5日はおじろスキー場と上山高原のブナ林を経由され、浜坂・田君川の梅花藻群生地を見学ののち澄風荘に到着されました。

近くのユートピア浜坂で入浴され、浜坂漁港で揚がった魚介の海賊炭火焼で夕食。八時ごろ散策を兼ねて近くの味原川の畔で飛び交うホタルの観賞。

翌朝、朝食後久斗山にある創造の森のブナ林の整備とふれあい祭り参加のためご出発されました。

ブナを植える会と言えば20年以上も前、新田次郎さんの小説「孤高の人」主人公加藤文太郎が浜坂町出身とのことでお付き合いをさせて戴くようになりました。

平成4年から毎年、久斗山にある創造の森にブナを植える皆さんにブナの苗を植樹戴くようになりました。

当時の会長は故片山英一さんでしたが、参加された110名の皆さんの中に加藤文太郎と非常に親交のあった多田繁治さんや永楽孝一さんが、まだお元気で加藤文太郎さんのことを親しくお話をして下さいました。

その中に、白髪の妙齢のご夫人から声をかけられました。「うちの主人が以前、浜坂の加藤文太郎さんの墓参りのため浜坂駅を降り、町の若者に加藤文太郎さん墓の場所を訪ねたところ、あっさりと知らないと言われた」「えらい世の中になってしもうた。きょう日の若い者は文さんのこと誰も知らへん。」と、本当に残念そうに神戸に帰ってこられたそうです。「でも、こうしてあなた方が加藤文太郎さんのことをテーマにして、活動しているのを見て少し安心しましたヨ。」

そうして、次の年の創造の森にブナの植樹に参加した時、そのご夫人から歴史を滲ませる古い二枚のはがきを手渡されました。

二枚とも昭和9年ごろ、単独行から帰ってきた加藤文太郎が、そのご夫人の夫あてのはがきでした。「私が持っていても、何ですから加藤文太郎さんのために使えたら、役立てて下さい」

今でも大切にしておりますし、加藤文太郎のことを訪ねてこられた方にはご覧いただいております。有難うございました。何時までもお元気でいらして下さい。

加藤文太郎を語る会 谷岡整