はまさか日記~澄風荘しょうふうそう~

兵庫県浜坂温泉・カニソムリエの宿・澄風荘の主人・スタッフが、但馬の文化や歴史、山陰海岸ジオパークのPR、浜坂の四季折々の魅力をお伝えしていきます。

リオ五輪の「緑色のプール」の原因の塩素と過酸化水素水の混合について

このブログと関係ないテーマですが、はてなブックマークで書いたコメントに訂正があるのでここで書きます。

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リオ五輪の「おならの臭いがする緑色のプール」は業者による作業ミスが原因と判明 - GIGAZINE

プールの塩素は主に次亜塩素酸ナトリウム。酸化還元反応で有効成分の次亜塩素酸(HClO)が消費されたか。てかこれって混ぜるな危険と同じじゃあ/訂正:混ぜるな危険の塩素ガス発生の反応ではないです。

2016/08/15 14:40

 プールで消毒の目的に用いられる塩素剤はたいてい次亜塩素酸ナトリウムです。

(温泉施設などでも用いられます)

塩素と言っているのは遊離有効塩素、酸化作用のある次亜塩素酸( HClO )のことです。

次亜塩素酸ナトリウムは水溶液中で次亜塩素酸( HClO )の形で存在します。

NaOCl + H2O <=> HOCl + NaOH   (1)

またHClOは水溶液中で、次亜塩素酸イオン(ClO-)と水素イオン(H+)とに解離します。

HClO <=>ClO- + H+       (2)

この次亜塩素酸 (HClO)と次亜塩素酸イオン(ClO-)の存在比はpH、温度によって変わります。

遊離有効塩素の存在比 参考:殺菌・除菌・消臭−ヴィータ株式会社

pH<5では以下の反応の平衡が右に傾き、塩素ガスが発生します。

いわゆる「混ぜるな危険」です。塩素系漂白剤は強酸酸性漂白剤)と混ぜてはいけません。(後述するように塩素系と酸素系漂白剤(過酸化水素など)を混ぜると酸素ガスが発生し効果がなくなります。)

HClO + HCl <=> Cl2 + H2O       (3)

ブックマークコメントでは最初、弱酸の塩と強酸による弱酸の遊離反応かと書いていましたが、過酸化水素(H2O2)は弱酸なのでこの反応は関係ないですね。

 

過酸化水素は酸化剤としても還元剤としても働きます。過酸化水素(還元剤として働き)は次亜塩素酸(酸化剤)と反応してお互いの効力(酸化剤としての効力)を消してしまいます。

HClO + H2O2 => HCl + O2 + H2O     (4)

この反応により遊離有効塩素HClOが分解されてしまいます。

結論:よって、塩素系消毒液の入ったプールに過酸化水素水を混ぜてはいけません。塩素の殺菌効果が弱まります

この時、( 3 )のように塩素ガスは発生しないのかというと、発生しないことはないでしょうが(1)でわかるように次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液は強アルカリなのでpHの条件から(3)の反応が右に傾くことはないと思われます。

とは言え、塩素系消毒液に強酸ではなくても酸性のものを混ぜるのは避けたほうが良いと思います。

リオオリンピックの会場プールが早くきれいになるといいですね。

と、横道にそれたエントリーでした。

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