はまさか日記~澄風荘しょうふうそう~

兵庫県浜坂温泉・カニソムリエの宿・澄風荘の主人・スタッフが、但馬の文化や歴史、山陰海岸ジオパークのPR、浜坂の四季折々の魅力をお伝えしていきます。

糟糠の妻

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糟糠の妻

著名な演歌歌手の事務所が社長と専務を解任したことで、テレビのワイドショウー

や週刊誌がかしましい。

 長年、辛苦を共にしてきた中での仲違いは、当然、格好のマスコミの餌食になるだろう。

 ところで、最近の芸能界は、歳の差結婚が大流行で、無名時代から長年連れ添ったパートナーと分かれて、若くて新しい伴侶を選ぶ傾向にあるようだ。

 

 後漢書の宋弘伝に「糟糠の妻」の話がある。

 後漢を興した光武帝のなかの錚々たる家臣の中に、その創業に尽くした大司空の宋弘はなかなかの

美丈夫であった。

 光武帝の姉で、未亡人になっている湖陽公主が彼に惚れ込んだ。しかし宋弘には妻がいて、いく

光武帝でも「姉を娶って欲しい」とは言い切れない。まさか主君の姉を側室にするわけにいかないだろうから、これは正妻ということになる。

つまりは、いまの妻を捨てざるを得ない。

 

 光武帝は湖陽公主を隣室によんでおいて、宋弘に訊ねた。

 「世間では裕福になったら人との交わりを変え、身分が高くなったら妻を替えるなどというが、貴公はどう思うか」

光武帝が姉の湖陽公主のことをほのめかしていることは、宋弘にもすぐにわかった。

皇帝の姉を娶って縁戚になれば、これからの栄達は約束されたようなものだ。

しかし、宋弘は毅然として答えた。

 「私は富んでも貧しくても人との交わり方は変えてもならず、糟糠の妻は捨てたりしてはならぬと考えております。」

河出文庫  鈴木亨下手な人生論より中国の故事寓話より

 

写真は米糠のお漬物