はまさか日記~澄風荘しょうふうそう~

兵庫県浜坂温泉・カニソムリエの宿・澄風荘の主人・スタッフが、但馬の文化や歴史、山陰海岸ジオパークのPR、浜坂の四季折々の魅力をお伝えしていきます。

人間万事塞翁が馬 宮城谷昌光『中国古典の言行録』より

さる人から薦められて、宮城谷昌光氏の『中国古典の言行録』を読んでいる。

その昔、中国の塞の近くに住む人が、ある日一頭の馬に逃げられた。近所の人々は慰めに来た時、その人は「この災難が、きっと福になる」と言った。はたして数ヶ後、逃げた馬がもう一頭の駿馬を連れて帰ってきた。人々はさっそくお祝いにきた。

「この福がかならず不幸にかわる」と、その人は言った。その人のうちは良馬に恵まれて、それはそれでよかったのだが、彼の子供は乗馬が好きで、馬を乗り回しているとき、落ちて、足の骨を折ってしまった。

人々は見舞いにきた。しかし、その人はこう言った。「いや、やがて、これが幸運になる」

一年後、北の異民族が塞を破って攻め込んできた。塞の近くの若者はみな戦い防戦に努めたが、多くの者が殺されてしまった。

その人の子供は足を骨折していて、歩行が不自由であったから、初めから戦闘に加えられず、命拾いをした。

禍福は糾える縄の如しとは、よく言ったものである。