花子さんの不安 加藤文太郎のことその2 

1.国宝的山の猛者槍に消える 昭和11年の年が明けると、神戸の街は2日から降り続いて大変大雪の正月を迎えていました。 結婚一年足らずの加藤花子さんは、生後二ヶ月にもならない乳飲み子を抱え、不安な日々を送っていたのです。 それは、年末の29日から槍ヶ岳に出かけた夫の加藤文太郎が下山予定日を過ぎてもまだ帰…