新温泉町浜坂を出発して車で国道9号線を1時間ほど走ると八鹿の妙見山の登り口に着く。女三人の春山登山である。
この山は、標高1,135メートルの信仰の山でもある。昭和のはじめ、単独行の加藤文太郎が神戸の山仲間と連れだって、蘇武が岳から縦走した山でもある。
加藤文太郎といえば、新田次郎氏や谷甲州氏の小説のモデルで、たった一人で山に登るイメージがあるが、決してそれだけではない。
但馬の低い山々には、神戸の多くの山仲間たちと山行をともにしている。この山に上る途中には加藤文太郎の山仲間であった津田周二さんや多田繁次さんらが始めた「神戸のブナを植える会」の人たちが毎年ブナの木の植樹しているところもある。