はまさか日記~澄風荘しょうふうそう~

兵庫県浜坂温泉・カニソムリエの宿・澄風荘の主人・スタッフが、但馬の文化や歴史、山陰海岸ジオパークのPR、浜坂の四季折々の魅力をお伝えしていきます。

楽天トラベルとじゃらんnetの違いって? 2大宿泊予約サイトを徹底比較!

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楽天トラベルじゃらんnetが日本の国内旅行のオンライン予約(OTA)では大手2強なんですが、旅慣れたお客様は用途や目的に合わせて使い分けていらっしゃるようです。
楽天トラベルとじゃらんはどこがどう違うのか?データやデザイン、宿側の事情を交えて、それぞれの特徴をご紹介します。

楽天トラベルとじゃらんnetの違い

楽天トラベルの特徴

楽天トラベル:http://travel.rakuten.co.jp/

  • 楽天トラベルの方がじゃらんnetより掲載施設数は多い
  • ビジネスホテル、ゲストハウス(簡易宿泊施設)の掲載が多い
  • 出張・ビジネスでの利用が多い
  • メルマガが凄いw(いろんな意味で)
  • 検索フォームのデフォルトは大人1名
  • 予約確定後にポイントの変更は出来ない
  • 販売プランのない施設も施設ページが見える
  • ポイントは通常1%(楽天スーパーポイントとして)
  • ポイント利用上限は一回につき30,000ポイントまで
  • 前身:旅の窓口
  • 運営元の本業:オンライン通信販売

じゃらんnetの特徴

じゃらんnet:http://www.jalan.net/

  • 温泉宿の掲載が多い
  • 厳選かけ流し、にごり湯など温泉のタイプで絞り込み出来る
  • 観光スポット情報が豊富⇨観光目的の利用が多い
  • 検索フォームのデフォルトは大人2名
  • 予約確定後もポイントの額を変更できる
  • 販売プランのない施設は施設ページが見えない
  • ポイントは通常2%(Pontaポイントとして)
  • ポイント利用上限は一回につき100,000ポイントまで
  • 前身:旅行雑誌じゃらん
  • 運営元の本業:広告業

サービス開始の背景と運営会社の違い

楽天トラベルは元々は日立造船コンピュータが立ち上げた「ホテルの窓口」(後の旅の窓口)から始まりました。出張やビジネスで利用するビジネスマンを対象にシェアを伸ばしていき、旅の窓口としてオンライン予約の先駆け的存在でした。澄風荘も1998年か1999年頃から旅の窓口に参画して、お世話になりました。

旅の窓口 スナフキン

なんとまだ「旅の窓口」のページがあった…スナフキンがキャラクターでしたね
「旅の窓口」20万人突破キャンペーンの感想

楽天は2001年に楽天トラベルを始めますが、旅の窓口に競合として苦戦していました。しかし、楽天はM&Aにより規模を拡大、マイトリップ・ネット株式を日立造船から323億円で買収し、2004年に「旅の窓口」は「楽天トラベル」に法人・サイト共に統合されました。
サービス開始の頃は「出張ビジネスは旅の窓口」というイメージがあり、実際ビジネスホテルの契約が多かったので、現在の楽天トラベルもビジネス寄りな雰囲気が残っています。ただ最近は楽天トラベルもレジャー目的の割合の方が多いです。

じゃらん雑誌

じゃらんnetは海外旅行情報誌「エイビーロード」の国内旅行版として1990年に創刊された国内旅行雑誌『じゃらん』が出発点です。(現在も発行されています)
温泉宿やレジャー・遊びの特集が多く、「こんな観光地があるよ」「こういう楽しみがあるよ」とプレゼンするような役割を担っていました。90年頃のじゃらんのCMの雰囲気と言えばわかりますかね。リクルートは広告業が本業であり、ブームや流行を自ら作り出しお客様に提示するというやり方が得意なのだと思います。
一方楽天トラベルは「楽天市場」という日本最大級のオンライン通信販売サイトを運営しており、とにかくたくさん数を揃えて提供する傾向があるように思います。

UI(ユーザーインターフェイス)・予約導線

予約サイトのデザイン・UIはお客様にとってどうでしょうか?
どちらも地域で絞り込み、エリア内の施設を比較出来ます。こだわり条件検索も充実しており、両者ともかなり細かい条件を追加できます。
楽天トラベルはPC貸出やズボンプレッサー、有料ビデオ、客室のバス/トイレ、など部屋設備を細かく指定できビジネスマン向け、じゃらんでは貸スキーや貸ボード、卓球、エステ施設などレジャー指向なのが伺えます。
楽天トラベルのこだわり条件
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じゃらんnetのこだわり条件
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UIで大きく違うのはエリアでの検索ツールバーの位置。
楽天トラベルの検索ツールバーは左サイドバーにあり、
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じゃらんnetの検索ツールバーはヘッダートップ下にあります。
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また楽天トラベルの本文テキストのフォントサイズは12.8pxで、じゃらんは12pxと若干じゃらんの方が文字サイズが小さくなっています。(PC)
楽天トラベルはTOPページを自由にカスタマイズ出来ますが、じゃらんnetの施設TOPはデフォルトのデザインです。フォトギャラリーが使えるかどうかも楽天トラベルとじゃらんでは違いますがそれは後述。

【追記】ブコメでご指摘いただいたので、補足します。
楽天トラベルでは検索フォームのデフォルトは大人1名ですが、じゃらんでは大人2名がデフォルトです。
id:suzukidesu23 さんありがとうございました。

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楽天トラベルとじゃらんnetの比較

楽天トラベルとじゃらんnetの会員数、施設数、取引額など実績面の数字の比較を表にまとめました。観光経済新聞の記事を参考に各社が公開したデータを元に、非公開のものも独自に最新のデータに直しています。
参考:観光経済新聞旅行予約サイト実態調査2017
じゃらんnet最新データ集

(取引額、人泊数は2015年4月~2016年3月実績)

OTA 楽天トラベル じゃらんnet
運営会社 楽天トラベル リクルートライフスタイル
開設日 2001年3月31日 2000年11月11日
会員数 13,100万人(楽天会員数)会費無料 会員数非公開.会費無料
契約施設数 29,421軒 25,794軒
宿種別内訳 旅館45.9%、シティ・ビジネス・リゾートホテル35.6%、ペンション・民宿・その他18.5% 内訳非公開
手数料率 7~10%(各契約プランやサービスにより変動) 8% シングル利用は6%
宿側の客室登録義務 契約プランごとにアロットメント数を定めている 義務はなし
決済方法 宿での現金・カード払い。事前カード決済 宿での現金・カード払い。事前カード決済。Apple Pay(アプリのみ)
主な利用目的 ビジネス45%、レジャー55% ビジネス、レジャー
国内宿泊取扱額 4,885億円(キャンセル反映後) 8,086億円(キャンセル反映前)
総予約人泊数 非公開 8,870万人泊
モバイル予約比率 40%(タブレット端末を含む) 非公開
インバウンド対応 対応あり 対応あり
ポイントプログラム 楽天スーパーポイント 楽天グループのサービス Pontaポイント リクルート・Ponta加盟店
ポイント付与率 通常1% 特集~15% 通常2%
ポイントの施設負担 通常1% 特集参画条件による 通常2%
アフィリエイト原資 宿負担1.3% リクルート負担
提携クレジットカード 楽天カード リクルートカード

シェア、取扱額実績は拮抗

こうしてみると一見、取扱額はじゃらんの方が楽天トラベルより倍ちかく多く見えますが、じゃらんの公表値はキャンセル前の取引額であり、またじゃらんは一貫して観光庁に実績数値を報告していないので、2015年度のじゃらんの実質的な取引額はわかりません。
2016年1月の観光経済新聞の旅行予約サイト実態調査によると

OTA 楽天トラベル じゃらんnet
取扱額 6380億円 6815億円
期間 2014年1月~12月 2014年4月~2015年3月

とあり、両者は拮抗していますがじゃらんnetの方が若干上回っています。契約施設数は楽天トラベルの方が多いですが、取扱額や売上高のシェアは両者とも同じくらいと言えます。

大手のOTAのシェア縮小と外資系OTAの躍進

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出典:電通による資料-日本のオンライン旅行市場
楽天トラベルもじゃらんも取扱額は年々伸びていますが、ここ数年一時期の独占状態から比べると他のOTA(一休.comやるるぶトラベル、JTB)外資系OTA(Booking.comやExpedia)のシェアが拡大しています。オンライン予約の総取扱額の上昇と伴に、新興の予約サイトの成長や外資系の海外の予約サイトの日本進出が目立ちます。
データで読む日本のオンライン旅行市場、取扱いシェアの変化からサプライヤー直販比率まで -フォーカスライトJapan | トラベルボイス

まだまだ2強が強いですが、新しい販路も増えています。たくさん予約サイトがありすぎてどこが良いのかわからない…、そういうときに役立つのが「メタサーチサイト」です。
blog.syofuso.com
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楽天トラベルの方が契約施設数が多い訳 施設負担の手数料

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楽天トラベルの方がじゃらんnetより契約施設数は多いのですが、この理由として、楽天トラベルは契約プランによってはアロットメント充足率を上げることでシステム利用料(手数料)を7%に抑えることが出来る(A契約)ことが考えられます。

アロットメント(割り当て)とは宿が旅行会社に部屋在庫を提供することで、業界用語ではブロックとも言います。簡単にいえば「部屋出し」。
楽天トラベルへの部屋出しが少ないと手数料が上がります。

部屋数の少ない小規模施設やオープンしたばかりの新規施設では部屋管理も大変ですし、あちこちいろんなサイトに部屋出しするより、楽天トラベル一本に絞って契約されているのかもしれません。また楽天トラベルに絞ることで地域別の掲載順位も上がるので、戦略的に楽天トラベルを重視している施設さんもあると思います。

この辺りはこちらのブログが詳しいので旅行業界に興味のある方は是非ご覧下さい。
休館日を作っている施設様は必見!│楽天トラベルのアロットメント除外日申請を設定すべき2つの理由
■マニアが教える!楽天トラベルの表示順位(掲載順位)のロジックとは!?

じゃらんはフォトギャラリーにお金がかかる 一方楽天トラベルはアフィリエイト原資=宿負担

楽天トラベルは写真ギャラリーやメルマガ送信を普通の契約で使えますが、じゃらんではデフォルトではトップの写真4枚のみで「販促サポートパック」という月々2万円の広告費を出して初めてフォトギャラリーや宿ログ、宿メールが使えるようになります(笑)
なので、楽天トラベルの方が安く「派手に」出来るのですね。ただ個人的には楽天のメルマガ攻撃はあまり好きではありません。
お客様のお邪魔にならないよう、年に4、5回位しかうちは出さないようにしています。

ただ、楽天トラベルはシステム利用料はA契約なら7~8%に抑えられますが、C契約なら10%、ポイント負担の1%、アフィリエイト手数料がアフィリエイターへの成功報酬として宿施設負担で1%、加えてアフィリエイト利用料0.3%で1.3%、実質手数料は12.3%となります。

楽天トラベル実質手数料:7~10%+1%+1.3% = 10.3%~12.3%
じゃらんnet実質手数料:8%+2% = 10%
まあアフィリエイト経由の割合はそれほどありませんから、アロットメント充足率を上げれば7%+1%で実質手数料8%に抑えることも可能です。
アフィリエイト経由の場合やアロットメント充足率が低ければ、じゃらんより楽天トラベルの方が実質宿負担の手数料は高くなります。ここは宿のカラーやお客様の層の違い、宿とOTAの相性がありますので、一概にどちらが(宿にとって)有利とは言えませんね。

貯めるポイントで使い分ける

契約施設の傾向に違いがあり、どちらかと言えば楽天トラベルはビジネス向け、じゃらんは温泉宿や料理宿向けなのかもしれませんが、両方と契約している施設がほとんどだと思います。
普段楽天市場でよく買い物され楽天スーパーポイントを貯めている方は楽天トラベルを、LAWSONやGEO、大戸屋をよく利用しPontaポイントを貯めている方はじゃらんを選ぶというのもアリですね。
楽天トラベルで貯める楽天スーパーポイントについてはまた別の記事に詳しく書きたいと思います。
blog.syofuso.com
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ライフスタイルに合わせて使い分け

id:yu-snfkn さんのように上手に使い分けられてる旅通の方もいらっしゃいます。
yu-snfkn.hateblo.jp
ライフスタイルに合わせて自分に合う予約サイトを選ばれると良いと思います。たまに聞かれるのですが、予約サイトによってお客様への対応が変わることはありません。プラン内容の設定が違うことはありますが、どこから予約されても宿にとっては皆様大切なお客様です。
公式サイトの予約は最安値で特典もありますので、ポイントを貯めるより最安値や特典があったほうが良いという方は公式サイトの直接予約を選ばれるとお得かと思います。