はまさか日記~澄風荘しょうふうそう~

兵庫県浜坂温泉・カニソムリエの宿・澄風荘の主人・スタッフが、但馬の文化や歴史、山陰海岸ジオパークのPR、浜坂の四季折々の魅力をお伝えしていきます。

山にブナの木を植えよう!

 山陰海岸ジオパークは、昨年10月世界ジオパークネットワークに加盟が認められました。ジオパークは、岩石の学術的価値や景観の眺望美だけでなく、自然の成り立ちやその地域の人々の環境整備なども含まれます。

日本海の浜坂漁港は、冬は松葉かにや稀少な深海魚などが水揚げされ、春にはホタルイカが沢山採れます。夏には、スルメイカ、天然の岩牡蠣やサザエが競りにかけられます。秋から初冬にかけて、ハタハタやカレイ漁が盛んです。

しかし、もっと昔には山にはブナやナラなど多くの広葉樹林があり、岸田川や久斗川にも夏でも水が豊富にあって、沿岸の海でもたくさんの魚が釣れていました。

近年の日本中の山は、人為的に荒らされ、人工林の針葉樹で自然環境の破壊がすすみ、川や海の環境悪化も否定できません。

現在、松葉かにやホタルイカ日本一の水揚げを誇る浜坂漁港であっても、将来を見据えれば心もとない現状でしかありません。

これからも山陰海岸ジオパークが世界から認められるためにも、春には海でホタルイカがたくさん採れ、夏になれば川面でホタルが乱舞し、山に住む鳥獣が人間との棲み分けが出来る環境整備の形成こそが必要です。

この町の出身で、新田次郎さんの小説「孤高の人」のモデル加藤文太郎さんの縁で、平成3年から神戸のブナを植える会の皆さんが、昔ブナの原生林だったところに毎年ブナの苗木を植えていただいておりす。

早二十年になれますが、一度壊された環境をもとに戻すには、その数倍の年月を費やさなければならないのです。

それでもこのような活動は、継続していかなければならないと思います。地元の漁師さんも、地域の住民の皆さんも、そしてジオパークを標榜する私たちも。

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