カニを扱っていると、かにの脚が他の脚より短かったり形状が変わっていて、脚の再生の跡が見られることがあります。
かにの自切(じせつ)
節足動物・甲殻類(甲殻亜門)であるカニは、外敵から襲われたときや身の危険を感じると自分の脚を切ることがあります。これをかにの「自切(じせつ)」といいます。
なぜ自切をするのかというと、トカゲのしっぽ切りと同じで切り落とした脚や尾で外敵の注意を引き、逃げる時間を稼ぐためです。捕食から逃れる可能性を少しでも高めるため、「逃げるのは恥」ではないのです。
生存率を上げ、外敵と出会う環境で生きていくための「適応」ですね。
かにの脚の再生
カニは脱皮を繰り返すことで成長します。この脱皮の際に自切で失った脚を再生させます。
と言っても脱皮の回数には上限がありますから、永遠に再生する訳ではありません。
最終脱皮をしたカニでは、一度落ちた脚は再生できません。
自切やその他の理由で脚を落としたかには「脚落ち」「短足」と水揚げ市場では呼ばれます。(味は変りません)
活かにを調理する際の注意
このようにかには身の危険を感じると自切するため、調理の際は注意が必要です。
活きたまま茹でると、自切するため、茹でる前に氷水につけておき、絶命させてから茹でます。
自切を見たい場合は活かにを買ってきて自宅で観察すると、自切が見られるかも知れません。
生物としてのカニ
私達旅館業のものは、カニに関わる人間として、海の資源、生物としてたくましく活きている生命の恩恵を受けていることに自覚しなくていけません。
大切な自然資源や生物多様性を守るためにも、ズワイガニ漁には漁業規制が行われています。農林省の「承認漁業等の取締りに関する省令」に加え、石川県から島根県までの日本海の漁業者では自主的な規制として「日本海ズワイガニ採捕に関する協定」などがあります。
松葉かに漁の期間が定められているのもこうした保護策の一貫です。
かにソムリエの役割
大切な資源を守る努力をされている漁業者の皆様に感謝しております。
そしてかにソムリエは大事なかにを最高のおもてなしでお客様に味わっていただけるよう、精進しております。これからも皆で頑張らなければいけませんね。
浜坂漁港のズワイガニは漁獲高も全国トップクラス、漁港も近くて鮮度も良いズワイガニ(松葉かに)です。
都会ではなかなか食べられない「松葉かに」を味わいに遠方から来て下さるお客様の期待に応えられるよう、かにソムリエはこれからも精進して参ります。