日本の旅館は一人旅の予約がしにくいとのお話をよく見かけます。先日の記事のブックマークコメントでもいただきました。
澄風荘では一人旅歓迎プランをご用意し、可能な限り多様なお客様を受け入れたいと思っております。お食事処は個室囲炉裏もございます。
最近は一人旅を歓迎する宿も増えてきましたが、まだまだ地方の宿では厳しい状況もあります。
「一人旅歓迎」の温泉宿はなぜ増えているのか | レジャー・観光・ホテル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
日本の旅館が一人旅を断る理由
一人旅の受け入れを断る日本の旅館はたくさんありますね。なぜ旅館側は一人旅のお客様を避け断ろうとするのか。
「女性の一人旅は~」という差別的な言い訳がかつてはあったようですが、本当のところは客室単価の問題です。
旅館はシングルユースの部屋が少なく、複数人で同室の部屋を設定しています。例えば4人部屋を1名様で埋めてしまうと一室あたりの利益が下がってしまうという訳です。
ふらっと自由に旅に出たい
以前は団体旅行が当たり前でしたが、個人の嗜好が多様化し一人で食事をしたり、旅行やレジャーを楽しむライフスタイルが浸透しました。グループ旅行も少人数になりました。団体だとどうしても個々の都合がぶつかって堅苦しくなるもの。旅行者は「ふらっと自由に旅に出たい」のです。
食事の時間が決まっている 旅館の「ルール」の理由
日本の旅館といえば中居さんが部屋について布団の上げ下げ、食事出しなどきめ細やかな”おもてなし”が特徴的です。
しかしながら、食事スタート時間が決まっていたり、夕食メニューがコース一本で固定で内容を自由に選べなかったりと自由度を狭めるルールも多い。
日本の旅館は自由がないという不満の声も聞きます。
下の記事は全面的には同意できませんが、理解できるところもあります。
なぜこのようなルールがあるのかというと、多くの従業員をかかえる施設ではレギュレーションを統一し安定したサービスを提供しなければなりません。また時間を定めることで人件費を抑え、なおかつ接客の質を高めることもできます。あまりに遅い食事スタートだと中居さんは帰れず、旅館側は人件費が増えてしまい、結果お客様にいただく料金も値上げせざるを得なくなります。
大きな旅館でもハイクラスの旅館では自由度の高いサービスを提供されていますね。
旅館は1名あたりの料金 ホテルは一室あたりの料金
また、日本の旅館の料金体系は複雑怪奇でわかりにくいと言われています。一部屋に泊まる人数によって一人あたりの料金が変わります。日本の旅館では多くは料金表示は1名単位で食事付きが基本です。海外のホテルでは1室単位がベースとなっているので、海外の旅行者にとって特にわかりにくいのかもしれません。
いろんな形態の宿があっていい
旅行者が多様化しているように宿も多様化し、様々な形態の宿があっていいと思います。ルールは多いけれど日本的な密度の濃い「おもてなし」がある日本の旅館もお客様にとっては魅力ですし、いろいろな宿があって自分に合う宿を探すのも旅の楽しみですね。選択肢は多様であるべきです。
澄風荘の食事時間は自由です
小さい宿の澄風荘では、小さい宿だからできる柔軟なおもてなしを心がけています。なるべくお客様にご自由にゆったり過ごしていただけるよう、食事の時間はお客様ごとに希望時間を伺い、固定の食事スタート時間は設けていません。チェックイン/チェックアウト時間は定まっていますが、その範囲であれば、お客様のご都合に合わせたお食事時間で提供させていただいています。
一人旅で宿を断られたら…
冒頭の話に戻りますが、一人旅で宿を断られた旅行者はどうなるのでしょうか。
ここからは例え話です。
ある勇気ある若者が魔王討伐の旅に出る。仲間はまだおらず、一人旅だ。道すがらモンスターが襲い掛かってくる。ステータスウインドウは緑・・・。やっと村を見つけた。
やった!宿で休もう・・・
ところがその村の宿では「一人旅はお断り」だと言う。
泣く泣く隣の村を探しに出て命からがら、ようやく宿を得た・・・
勇者の一人旅はつらい・・・
宿は旅行者に安心・安全を提供する場所
急な用事や仕事で出かけ先に泊まらなければならないときに、「一人客」だからと断られてしまうと、旅行者はどうなるのでしょう。宿は旅行者に安心して身体を休める場所を提供するという公共的な役割があります。
ある駅でどの宿に電話しても断られ、仕方なく他の駅へ行ったお客様や、外国人旅行者のバックパッカーの方で、英語が苦手だからと宿泊を断られてなかなか宿が見つからなかったというお客様のお話を伺ったことがあります。
全室が1名様で埋まってしまうと宿も困りますが、部屋が空いていたり余裕のある場合はお一人様も受け入れる宿がもっとあってもいいと思います。(特に地方で)。時代とともにお客様の需要に合わせて、日本の旅館のシステムも柔軟に変化していかなければなりませんね。