第5回かにソムリエ研修会として、安泰寺住職ネルケ無方氏を講師としてお招きし、
海外からのお客様さまにもカニソムリエとして「おもてなしの心」をもって対応出来るよう語学研修会を開催いたしました。
ネルケ住職は20年程まえ初めて安泰寺に来られ、半年間の修行後ドイツへ帰国され修士課程を終了後再び安泰寺に入門されました。詳しいプロフィールはこちらをご参照。安泰寺公式サイト
ドイツ語ネイティブで英語、日本語もご堪能なご住職で、安泰寺には禅を学びに各国からたくさんの海外旅行者の方々が来られ、我々浜坂観光協会の宿を利用してくださる方も多く大変お世話になっております。その長年の日本での経験から、日本語と西洋語の根本的な相違点、日本人と海外の方との言語的価値観、思想の違いから来るコミュニケーションの「ずれ」を説明して下さり、大変わかりやすかったです。
例えば日本語では「よろしくお願いします。お世話になります」というあいさつが頻繁に使われますが、それに対応する英語表現はなかなか見つかりません。
そもそも、欧米では個人主義的な考え方、主体と客体の二元論が確立しており、それに対し日本では主体と客体は曖昧で主語のない表現や省略が多いなど、文化的社会的な相違が大きく関係していると思われます。
つまり欧米では「私」と「あなた」という個人がはっきりと区別され、そのために明瞭で論理的な情報伝達が「私」と「あなた」の間で必要であり、日本では「私」と「あなた」という二項対立よりその場の「空気」やそのコミュティ内の共通認識がベースにありそれによってなんとなく「空気を読んで」伝え合うというあいまいな表現が多くなるのでしょう。
これはどちらの文化が優れているとか劣っている問題ではありません。ただ「違いがある」というだけです。
そしてその前提を受け入れ、理解することが大事なのだと思います。
ネルケ氏はまた実際に学校や参考書・テキストに書いてあることと、リアルに海外の方が話すことばは違う、それは日本語学習においてもそうだったと仰っていました。
さらに、海外=英語ネイティブではありません。
アジア系の英語、ドイツ訛りの英語などいろんな訛りのある英語を話す方々はたくさんいらっしゃいます。そうした国際的な個性をもった言語として英語を捉えることが、これからますます、重要なのではないでしょうか。
ですから、シングリッシュ、コングリッシュ、ヒングリッシュとあるようにジャパニッシュの確立をもっと主張すべきだと考えます。言葉は伝えること、伝わらなければ意味がありません。
目の前の相手と対峙したとき、真摯な心で持って、臨機応変に「英語」で「伝え合う」ことが最も大事なのだと、思います。
そのための英語学習でなくては意味がないのです。
今回の研修はその意識改革のイントロダクションとしてとてもよい機会となりました。
最後に、お忙しい中、講師を務めていただいたネルケ無方氏に心からの感謝しております。ありがとうございました!