野山がすっかり青々とした木々に包まれ、初夏の様相を漂わせている。その中に赤い花がヤケに眼に入ってくる。
山ツツジの真っ赤な花で、子供の頃の学校からの2.5キロの家路を悪童ともども、道草をして花弁を摘んではよく口にしたものであった。
あの頃はどの家も食糧が少なく、何時もお腹を減らしていた子供たちは、山野を駆け巡り野いちごを摘み、野草を齧っては空腹をしのいだものだ。
今は飽食の時代、そのような思い出話をしても、今の子達は、誰も信じようとはしないが、道草や山苺狩りが、あの時代の子供たちの遊びの中心であった。
初夏の野花シリーズ