スマホのはてぶアプリを見ていたら、こういう記事を見つけました。
国民生活センターが全国の消費者センターで受けた、インターネットで予約した旅行に関するトラブルに対する相談件数が増えているというもの。
全国の消費生活センターなどには、去年、旅行に関するトラブルの相談が3545件あり、このうち1669件がインターネットで予約した旅行に関するトラブルの相談だったという。
国民生活センターのサイトで公開されている報告書を調べてみました。
旅行に関するトラブルに対する相談件数と旅行業界オンライン市場規模
出典:インターネットで予約した旅行に関するトラブルにご注意−ホテルに行ったら予約が取れていなかった!?−(発表情報)_国民生活センター(報告書本文より:白文字の%は筆者付記)
2011年の旅行に関するトラブル相談件数総数におけるネット予約の相談件数の割合は
836/3094= 27.0%で、2015年の割合は1669/3545= 47.1%と確かにネット予約に関するトラブルの相談件数の割合が増えていますね。
また、日本の旅行総市場規模のうちオンライン市場規模の占める割合は2011年が33%※1、2015年が40%※2と推測できます。
( ※1フォーカスライト「2013年度 日本のオンライン旅行市場調査 第2版」より※2オープンドア社の「成長可能性に関する説明資料」より)
出典:オープンドア社の「成長可能性に関する説明資料」
本当は日本人の旅行者数のうちオンライン予約経由の割合を知りたいのですが、観光庁の「平成27年度宿泊旅行統計調査」にはその資料がありませんので市場規模の割合で考えたいと思います。
年々オンライン市場規模が伸びていることを考えるとネット予約に関する相談件数の増加も理解できますが、2015年の相談件数の増加とその割合の増加は顕著ですね。
2016年1月5日の観光経済新聞によるとじゃらん、楽天トラベルの2強OTAに加え、JTB(JTBトラベル、るるぶトラベル、どちらもi.JTBがサイト運営)が伸びてます。
またモバイル予約比率が増えていることも2015年のOTA業界の特徴と言えるでしょう。
正確な資料がないため、単純比較はできませんが、確かにネット予約に関するトラブル相談件数は増えていると言えそうです。
相談内容の事例
【事例1】旅行サイトで海外のホテルを予約したが、現地で予約が取れていないと言われた
【事例2】予約中「エラー」と表示されたため別の予約をしたら、二重予約になってしまった
【事例3】予約内容が、自分が選択した内容と違っていた
【事例4】代金を支払ったが、航空券を受け取らないまま事業者と連絡が取れなくなった
「予約が取れてない」トラブル
ネット予約したのに現地に行ってみると「予約がない」と言われたというトラブルはたまにあるようです。ほとんどの施設はネット予約の管理を「サイトコントローラー」を導入して運営しています。サイトコントローラーは各予約サイトOTA(じゃらん、楽天トラベルなど)とフロントシステム(宿台帳)を連携し部屋在庫を同期しオーバーブッキングや予約通知漏れを防ぐものです。
完全にリアルタイム同期はできないので、別々のサイトで別の人が同時に予約すれば、オーバーブッキングは起こり得ます。(その場合は他の宿を紹介するなど何らかの対応があるはず)
サイトコントローラーのエラーで予約通知が宿側にない、フロントが予約を確認していない、予約者氏名と宿泊者氏名が違う、同姓同名の別の人がウォークインでチェックインしてしまったなどが考えられます。予約確認のメールを保存していれば予約番号か予約者氏名で予約サイトの顧客情報が確認できますから、予約確認メールをフロントに見せましょう。
「予約が取れてない」というトラブルはネット予約より電話予約で起きやすいです。日付や名前を聞き損じる可能性があるからです。電話予約の場合はお名前のフルネーム(同日に同姓のお客様が複数集まる場合が実際ある!)、連絡可能な電話番号を伝え、不安な場合は確認の電話を入れましょう。
お伺いしてもお名前を名字しかおっしゃらない方がいて、時々困ります(^^;
予約サイトのシステムエラー
予約サイトのシステムエラーで予約が取れたかどうかわからず、何度も予約送信をしてしまう…。
予約サイトでは同日に複数の宿泊予約は出来ないはずですが、予約成立確認をせず別のサイトで取り直してしまい二重に予約される場合も有り得ます。
サイトエラーが出た時は、しばらくおいてログインし直し、アカウントページから予約確認しましょう。時間を置いて確認すればシステムエラーのトラブルは大抵はありません。慌てても良いことはないです。
予約サイトのUIによるトラブル
予約サイトのサイトデザインやインタフェース上にユーザが誤認しやすい問題がある場合があります。特にモバイルサイトの予約では予約内容や注意事項、設備写真が小さく誤認が起こりやすいです。
これはサイト運営側がユーザビリティの向上に努めるしかありません。モバイルに対応したサイト運営が重要になってきています。
予約サイトの業者が倒産し逃げてしまった
予約サイトで申し込んでカード決済などで旅行代金を事前に払ってしまった後で業者と連絡が取れない(倒産し逃げてしまった?)事例を考えます。大手のOTAが潰れることはほとんどないと思いますが(倒産しても他所が引き継ぐでしょう)、小さい旅行会社で事業が引き継げないことはあるかもしれません。カード決済の場合はカード会社が保証してくれるでしょうし、予約が成立していれば問題なく宿泊できます。
銀行振込の場合で予約が成立していない場合は回収は難しくなります。営業保証金および弁済業務保証金制度もありますが、限度額を超えた被害の場合、被害額に応じて契約者全員で案分する形になるので、実際には支払った全額が手元に戻るケースはほとんどないそうです。
契約前に(予約申込)事業者の旅行業法の登録があるか、所在地はどこか確認しましょう。
トラブルを防ぐために
- 申込前に解約料等の契約条件や予約内容をよく確認
- 予約サイトの事業者の確認
- システムエラーは慌てない時間を置く
- 予約確認メールは旅行が終わるまで保管
以上の点を留意すればネット予約のトラブルは減ります。予約サイトや宿に問い合わせても解決しないトラブルは消費者センターか日本旅行業協会へ相談しましょう。
しかしながら、ユーザーがどんなに注意してもどうしようもないトラブルも起こり得ます。これは我々が考え注意しないといけません。旅行会社もわかりやすいサイト運営をしなければなりません。
現状大手の予約サイトも、キャンセル料や契約上の規約がわかりやすいとは言えません。もっとユーザー目線、お客様目線で考えなければならないでしょう。
秋休に向けて、皆さまがスムーズに旅行できますように。
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